分譲地でよくみられる「旗竿地」って得なの?利点やデメリットなどを解説
マイホームを検討する際に、今まで聞いたことのない専門用語に出会うことがあります。「旗竿地」という言葉もそのひとつかもしれません。今回の記事では、旗竿地のメリット・デメリットを解説します。読み方や意味、特徴などを踏まえて、今度の住まいを考えるうえでのヒントにしてみてください。
まず「旗竿地」について理解する!
旗竿地とは、「はたざおち」と読み、土地を俯瞰して見た場合、竿に旗をつけたような形状であることから、名づけられた呼び名です。別名、敷地延長といわれることもあります。独特の形状のほかに、公道に接する面、いわゆるエントランスの幅が狭く、奥まったスペースに住宅を建てなければならないのが大きな特徴です。
気をつけたいのは、公道に接するエントランスの幅が2m以上あるかどうか。建築基準法内の接道義務により、原則として、4m以上の道路に対して、接道、つまり、エントランスの幅が2m以下だと、住宅建築は不可能となっています。
では、なぜ旗竿地のようなユニークな形状の土地ができるのか、疑問に思う方もいるでしょう。もともと旗竿地は、家が2軒分建てられるほど広い土地の一部でした。ところが、道路に面した手前の敷地が整形地として分譲されると、細い道幅と、奥まったところに1軒分の土地が残ります。旗竿地がつくり出されるのは、その結果です。
旗竿地のメリット
どんな変わった形状であっても、価値があるからこそ、旗竿地は住宅分譲地として選ばれるわけです。では、どんなメリットがあるのか、確認しておきましょう。
土地の値段が安くなる
多くの方にとっていちばん魅力的なのが、土地の値段が安いことです。同じ面積の整形地と比べても、3割程度安いのが一般的。土地探しの選択が限られてしまう都心部では、狭小地や変形地と並んで、旗竿地は有力候補のひとつといっていいでしょう。ちなみに、通路部分が広くなればなるほど、土地の値段は高額になります。
プライベートが保たれるうえに防音対策にもなる
道路から離れ、奥まったところにあるので、通行人などの視線も気にならず、プライベートが保たれた状態で生活できるのも魅力です。通行人に家の中を好奇な目で覗かれることもありません。また、行き交う車の騒音対策になることも、あわせて注目したい要素です。
こだわりの内装づくりが可能になる
土地が安くなる分、内装に費用を注ぎ込める点も、こだわりをもつ人ならば強みになるでしょう。内装は生活に直結するものなので、快適性を高めることは大切です。
子供の交通事故に対するリスクが減る
子供の安全面でも一定の役割を果たします。道路から離れているため、玄関から急に飛び出しても、不慮の事故に巻き込まれる心配はありません。親にとっては、生活上の不安がひとつ解消されることにもつながります。
旗竿地のデメリットや購入前の注意点とは
旗竿地にはデメリットも存在します。購入前の注意点とともにチェックしておいてください。
良好な日当たりや風通しが期待できない
はじめに、環境面での問題です。特殊な形状の土地ゆえに周囲の建物に囲われてしまい、当然ながら日当たりや風通しが悪くなります。日中でも部屋の明かりが必須の生活を強いられる場合、精神面での影響もきっと無視できないでしょう。とくに、まだ小さい子供にはつらい状況かもしれません。また、風通しがよくないと、洗濯物が乾きにくくなるので不便です。
空き巣などの防犯上の危険性がある
次は、防犯面でのリスクも外せません。再三繰り返すように、旗竿地は奥まったところにあります。その影響で、人目につきにくくなり、空き巣などの被害に遭いやすくなるのが悩みの種。強化ガラスやホームセキュリティシステムの導入など、なんらかの対策を講じる必要があります。
スムーズに車の乗り降りができない
生活上の利便性でいえば、車の駐車が難しいことが挙げられます。通路部分の幅がわずか2mしかないので、車の乗り降り自体できません。仮にそれ以上の余裕があったとしても、使い勝手の悪さは目に見えています。ショッピングセンターから帰って、たくさんの買い物袋を車からダイレクトで家に運び込む、という当たり前のことができないのは、ちょっと考えものかもしれません。
売却に出しても買い手がつきにくい
最後に、売りに出してもなかなか買い手がつかない、値段が極端に安くなることもウィークポイントです。将来的な売却も含めて購入を考えているなら、この点にも留意して判断しましょう。
まとめ
マイホームを検討する段階で、不動産関連の専門用語をいろいろと目にするはずです。今回の記事では、旗竿地とは何か、読み方の初歩的なことからメリット、デメリット、さらに購入時の注意点まで解説しました。
メリットは、値段の安さとプライバシーが守られた暮らしぶり、子供の安全にもつながること、デメリットは、日当たり、風通しがよくないうえに、防犯面で不安があること、売却しにくいことなどがあります。空いた土地が少ない都心部でマイホームを考えているみなさんにとっては、旗竿地は欠かせない選択肢かもしれません。紹介した情報をもとに、これから土地探しに取り組んでみてください。